技術を突き詰めていくと、終わりがない。でも、そこが面白い…のだと思う。

投稿者: | 2014年9月3日

「次回はメディアへの露出は大事」ということについて書く予定だったのだけど、しばらく開いてしまったのでそのテーマは時効ということにします。

今年は法被の仕事の当たり年で、いまだに法被を毎日染めてるところです。
数年内には小紋柄の法被もできるようにしようと考えてるところでございます。

そんな小紋柄つながりで、今日は面白いテレビ番組をお昼に観ました。

平日のお昼にNHKで『ひるブラ』という番組がやっていているのですが、今日は「新宿に息づく伝統染め物~東京・新宿区~」というタイトルで東京の染物屋さんの生中継をやっていました。

同じ染め物でも本日中継されていたところは、小紋柄の染めをやっているところでした。
「小紋柄ってなに?」という方は、こういう感じのものです。

Same beige
Same blue
Monnirikikkou1

イメージできましたか?

技術としての仕組みなんかは知っていたのですが、いざテレビでこの道50年の職人さんがリアルに動いて糊を置いている様を見ると、

「なるほど。これはハンパない。すごい。凄すぎる…」

と思わずにはいられませんでした。

とりあえず、「職人」と呼べるレベルになるには、まず10年かかるそうです。でも、それは職人でも「ひよっこ」レベルなので、さらに10年、20年をかけてレベルアップしていくとのことなのです。

テレビで映ってらっしゃった50年の経験を持つ方は、まさに「職人」から「匠」の域に入っているのでしょうね。

法被の小紋柄など、パソコンを使えばいくらでもつくれるし、コピペすればどんどん繋げられる。

でも、パソコンでそんなことができるようになったのは、ほんの10数年くらい前から。それまでは人が手で型の柄を描き、それを彫刻刀などで彫っていたんですよね。

テレビの中継に映ってた染め屋さんには江戸時代や明治時代の小紋柄の型が残っていたりして、200年以上も昔に人々はやはりきっちり生きていて、いまのデザインに負けないような柄を多く残していました。

100年、200年経っても少しも色褪せないデザインには脱帽です。
江戸や明治にそれらの柄をつくった人たちは、数百年経っても通用する仕事を残してきているのです。
それは今でこそ特殊なものかもしれませんが、当時は庶民が纏う着物(衣類)に入っていたのです。特に武士の着るものは主張しすぎてはならないので、さりげない部分で違いを表していたのだそうです。逆に町民の着物はド派手が柄が多かったらしいです。

こうしてみると、ひとつの技術も浅い部分などない。むしろ、シンプルなところにこそ深みは生まれて、そこを追求していくと他との圧倒的な差が生まれるのだと思います。

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